庄内の春の味覚「笹巻」JAたがわ立川加工所に密着!
3月は「笹巻」についての記事です。
庄内では春の味覚として昔から親しまれています。
庄内の笹巻は県外ではなかなか見る機会がないかもしれませんね。
今回は庄内たがわ農業協同組合の立川加工所で行われている
笹巻づくりに密着させていただきました。
立川加工所では5人で笹巻を作っています。
笹巻って?
笹巻とは笹の葉でもち米を巻いて煮た伝統食品です。
笹巻は保存食として昔から受け継がれており、
種まきや田植えなど農作業時のおやつ・手土産として多く食べられました。
農作業が忙しくなる春に多く食べられることから
現在も季節商品として愛されています。
ちまきなどで親しみがあるかと思いますが、
庄内では正三角形の笹巻の文化が根付いています。
白と黄色の2種類があり、
白の笹巻は水で煮たもので黄色の笹巻は灰汁で煮たものになります。
白と黄色では煮る時間が1時間程異なる為、食感も異なってきます。
白の笹巻はもち米の粒感が残りもちもちとした食感で
黄色の笹巻は粒感はなく全体がぷるぷるとしていてやわらかい食感です。
面白い事に白と黄色では地域によって好みが分かれているんです。
一般的に白の笹巻は酒田地区、黄色の笹巻は鶴岡地区で好まれています。
庄内町では昔は白の笹巻が多く食べられてきましたが、
最近では黄色の笹巻を好む方も多く見られるようになってきました。
笹巻づくりは全て手作業
笹巻は浸水したもち米を2枚の笹の葉で巻きイ草で結びます。
使用しているもち米は山形県産ヒメノモチ100%使用で、
立川加工所では1日に約2000個の笹巻を巻きます。
2000個巻くということは笹の葉は4000枚必要になります。
前日に笹の葉を10分程度茹でで柔らかくし、
縮まないように水で冷やしながら1枚ずつ広げるように洗います。
洗った笹の葉を2枚組み合わせて真ん中をくるっと巻くように
三角の筒を作りそこにもち米を40g入れます。
この40gも毎回はかりで計るのではなくお猪口や盃を使用していて、
長年の感覚をもとに40gがどのくらいか身についているとのこと。
試しに何個かはかりに乗せてみるとどれも丁度40gでした。
蓋をするように笹の葉の先を巻き込み、正三角を作りイ草で結びます。
三角の角に隙間があると煮た時に漏れてしまうため
隙間が出来ないように巻かなくてはいけません。
結ぶ時もゆるくなくきつすぎないように、
かつ結び目がほどけないように力加減をしなくてはいけません。
正三角にするのが難しい作業で、長年笹巻を作ってきたプロも
笹巻づくりの中でも巻く作業が1番大変だと語ります。
1日中同じ格好でずっと巻き続けるので見た目よりも重労働になります。
1日がかりで巻き上げ、翌日煮ます。
1回でひとつの鍋で300個、大きい鍋では500個煮ます。
水から煮て、煮立ってから火を小さくしじっくり煮ます。
途中2~3回水を足して白い笹巻で3時間、黄色い笹巻で4時間煮ます。
火力や水の量は慣れと感覚で経験をもとに調整しているそうです。
煮る時間が長すぎると葉がやわらかくなりすぎて壊れる原因となるので
このあたりの微調整も経験がものを言います。
火を消したら蒸らして冷まします。
時期や気温によって冷めにくい時は鍋のフタを開けたりして冷ます時間も調整しているそう。
完成した笹巻は1個60g程になります。
つくり方は昔からずっと変わっていない為長年の経験と感覚が必要です。
特に巻く作業は完全に習得するには何年もかかるとか。
手がかかる作業ばかりでどれも機械では出来ません。
笹巻の作り手は減ってきている現状がありますが、
庄内の伝統文化は絶やさずに受け継いでいきたいですね。
かごいっぱいの笹巻を目にすると圧巻でした。
笹巻の食べ方
笹巻は笹の葉を剥き黒蜜ときな粉をかけて食べるのが一般的な食べ方です。
立川加工所では笹巻だけではなくセットの青きな粉も
庄内の青大豆”秘伝豆”を豆から炒って挽いて加工しています。
この青きな粉は全国的にも珍しく、庄内町産の青大豆を原料に作られています。
以前はこの青きな粉に砂糖と少量の塩を混ぜて笹巻にかけて食べていました。
実はここ10数年程で黒蜜との組み合わせが主流になったのです。
このように昔からの伝統を引き継いできた笹巻も少しずつ変化してきています。
昔は笹巻は干して保存食として多く食べられていました。
今はお茶うけとしてなどデザート感覚で食べられることが多いです。
賞味期限は製造より5日となっていますが
今製造している笹巻も干して長持ちさせ、食べる時に煮返すと美味しく食べられます。
ここでワンポイント!
どうしても食べるまでに日にちがかかってしまう場合など
少し固くなってきたと感じたら、笹の葉ごと沸騰したお湯でさっと5分程度
煮返すともちもちとした食感が戻り美味しく食べられます。
贈り物など食べるまでに時間がかかる場合などもこのひと手間を加えることで
出来立てのようなぷるぷる・もちもち食感を味わえます。
庄内では老若男女問わず愛されている笹巻ですが、
特に庄内から県外へ行った人に食べてもらい庄内の文化を広めてもらいたいです。
笹巻の出荷は4月中旬からがピークとなります。
花見などで春の風を感じながら端午の節句のお祝いなど
5月までの期間限定の味わいをぜひご賞味ください。
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