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庄内町の米「亀ノ尾」を創選した阿部亀治   

亀の尾2㎏

12月の記事は庄内町の米「亀ノ尾」についてです。

山形県はお米の生産地として有名ですよね。

さらに庄内平野は、前回のおもちの投稿でも触れたもち米「でわのもち」のように

県内でも庄内地方でしか作られない品種があったりとお米を中心に農業が盛んな地域です。

近年では山形から生まれたお米つや姫」「雪若丸」が評価され、

庄内米も全国的に有名になり認知度が高くなっているように感じます。

現在の美味しいお米であるはえぬき・つや姫・雪若丸・ササニシキのルーツをたどると

「亀ノ尾」に辿り着くのをご存じでしたか?

その亀ノ尾は庄内町発祥のお米なんです!

 

亀ノ尾ってどんなお米?

亀ノ尾は今から120年以上も前の明治30年に

阿部亀治によって庄内町で生み出されました。

亀ノ尾の特徴

現在の水稲と比べ稲の背が高いのが特徴です。

当時は現在よりも雪が降る期間が長かった為、

虫害・冷害に強く、早生であり、寒さに強いお米で

多量の肥料を必要としない亀の尾は期待の新品種でした。

阿部亀治は当時の新技術である「乾田馬耕」を村でも先駆けて取り入れ、

同時に品種改良を進め、亀の尾を生み出しました。

亀の尾水稲標本

庄内から全国へ

創選者である阿部亀治の人柄の良さと人の噂により亀ノ尾という名前が広がっていきました。

亀ノ尾が優れた品種であることに加え、

亀ノ尾の種子が出回り始めた頃が庄内地方の稲作技術の革新期にあたり、

乾田馬耕に適している稲の新品種が必要とされていた時代に

亀ノ尾が生み出されたことも全国的に広がった背景と言えます。

亀治は快く他県にも亀ノ尾の種子を分け与え、徐々に普及し、

大正時代になると愛国・神力とともに「日本三大水稲品種のひとつ」として

日本全国さらには朝鮮半島と台湾までも亀の尾の名が広がりました。

美味しいお米のルーツ

亀ノ尾は交配親として、優れた品種を現在も世に送り出しています。

記事のはじめにはえぬき・つや姫・雪若丸・ササニシキの4品種記載しましたがその他にも

ひとめぼれ・あきたこまち・コシヒカリ・酒米出羽燦々などもルーツは亀ノ尾です。

その中でも「コシヒカリ」は同じく庄内町の守屋多郎左衛門が創選した「森多早生」と

「亀ノ尾」の子孫の交配により誕生した品種で、現在も美味しいお米として食べられています。

 

 

阿部亀治について

阿部亀治

亀の尾の創選者である阿部亀治は庄内町小出新田の農家の長男として生まれ

12歳で農業に従事しました。

農事を独学で学び、率先して乾田化や雁爪普及にもいち早く取り組み

耕地整備と品種改良にも熱心な篤農家でした。

明治26年冷害による大凶作の年に立谷沢地区の熊谷神社にお参りに行った時に

近くの水田の水口に冷害に耐えたわわに実った3本の稲穂を見つけました。

その3本の稲穂をもらい受けその種子から育った良い稲の種子のみを翌年植え、

その中からさらに良い種子のみをまた翌年植えて選りすぐりをかけ

4年の歳月をかけて品種改良を行い新品種「亀ノ尾」を生み出しました。

仲間から亀治の一文字を取りの亀の王と命名することを勧められたが、

亀治本人がおこがましいからと亀の尾っぽで「亀ノ尾」と命名しました。

ここにも亀治の人柄が表れていますね。

亀の尾を求めて訪れた農民に無料で種子を配り分け与えるなど気前の良さと

亀治の農業に対する熱意も亀の尾を広めるのに一役買ったのかもしれません。

その後も現在の小出新田の650町歩の耕地を乾田化するなど熱心に農業改良に取り組み、

その功績により多くの表彰を受け農業の発展に尽力しました。

 

現在は酒米として

亀ノ尾は粒が大きく磨いても芯が残ることから、

現在は主に酒米として、米を磨いて作られる吟醸酒・大吟醸酒に用いられます。

亀の尾が誕生した当時は早生でしたが、水稲の種類が増えてきたことから

現在では中生の品種となっています。

昭和に入ると多肥多収の新品種が次々と作りだされ、

亀ノ尾はその姿を消してしまいました。

1度姿を消したので亀ノ尾は「幻の米」と呼ばれているのです。

庄内町では阿部亀治のひこ孫にあたる阿部喜一氏から

庄内町の酒蔵「鯉川酒造」の杜氏が

亀の尾の種子を譲り受け昭和56年に復活栽培を開始しました。

同じく新潟の久須美酒造も昭和55年より亀の尾の復活栽培を開始します。

久須美酒造の取り組みは漫画「夏子の酒」(尾瀬あきら著)のモデルとなり、

酒米としての亀ノ尾が知られるきっかけにもなりました。

現在では鯉川酒造をはじめ、全国で30を超える酒蔵で吟醸酒の酒米として利用され、

阿部亀治」「亀治好日」と亀治の名前がつくお酒も作られています。

 

亀ノ尾で広がる交流

全国の亀ノ尾のお酒を飲んでみたいと、旧余目町の町おこしグループが平成9年から11年間全国亀ノ尾サミットを開催していました。

それぞれの産地で開催されるサミットは、全国各地の生産者や酒蔵の関係者を亀ノ尾がつないでくれたものです。

そして、庄内町では平成19年から「日本一おいしい米コンテスト」開催し、全国から500点ほど出品されています。

食味値などの数値ではなく予選審査から「食べて審査する」ことに徹している珍しいコンテストには、

毎年多くの生産者やお米好きが全国から集まってきてくれます。

この会場ではおいしい米のルーツはここにありということで亀ノ尾を味わっていただいています。

最優秀賞金賞が発表された後、全国各地で醸造された亀ノ尾のお酒と田舎料理を楽しむ交流会も続けています。

 

庄内なんでも屋・なんでもバザールあっでばにて吟醸酒各種と亀の尾1㎏入も販売しています。

庄内町南野に亀ノ尾の里資料館(庄内町余目第4公民館併設)があるのでぜひ庄内町の農業の歴史に触れに訪れてください。

 

 

庄内なんでも屋は県内外の皆様に庄内平野の豊かな恵みが育んだ食と文化をお届けしてまいります。

TwitterFacebookにてほぼ毎日特産品市場庄内なんでも屋と

産直施設なんでもバザールあっでばの情報を更新しています。

山形県庄内地方の食と文化をこれからも発信していきます。

ECサイト担当 S

 

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